連載TECH-chart

スクラバーに関する様々なトピックを定期連載していきます

19.搭載エンジニアリング1(機関背圧)                             2018.10.17 UP

機関排ガス過給機出口の背圧(過給機出口から煙突開口端までの通り抜けにくさ)は機関負荷(ガス量)の増大に伴って上昇します。

背圧が変動すること自体はスクラバー搭載の有無にかかわらず起こることなので問題ではありません。注意が必要なのは機関排ガス過給機出口の”最大”背圧です。最大背圧は各機関毎に推奨値があります。背圧は排ガス管口径、曲げや合流・分岐形状などによっても大きく変わります。特にスクラバーレトロフィットの場合は更に配置上の制約も加わるため、新造時とは異なる特別な配慮が必要になります。

18.IMO EGCSガイドライン(SOx排出規制値)とは何?                             2018.10.10 UP

MARPOL条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships:海洋汚染防止条約)附属書Ⅵ第14規則では、 ECA以外の一般海域においても2020年1月1日以降硫黄分が0.5%を超えない燃料油を使用することが規定されています。また第4規則ではこの燃料油中硫黄分を規制するのと同等の効力を有するスクラバーをはじめとする排ガス浄化装置の使用が認められています。

排ガス浄化装置ガイドライン(IMO MEPC.259(68)”2015 Guidelines for Exhaust Gas Cleaning System”)ではこの「同等の効力」を証明するため浄化装置出口排ガスのSO2(ppm)/CO2(重量%)比を用いた評価をするよう規定されていて、硫黄分濃度3.5%、0.5%、0.1%の燃料油を燃焼させた場合のSO2/CO2比はそれぞれ151.7、21.7、4.3とすることもあわせて定義されています。

排ガス浄化装置の性能は「脱硫率」という指標で表され、例えば硫黄分濃度3.5%の燃料油の使用に際し、硫黄分濃度0.1%燃料油燃焼時相当のSOx排出量まで排ガスを浄化する装置の脱硫率は(151.7-4.3)/151.7x100=97.2% になります。

17.燃料油硫黄分の規制対象となる船内機器は何?                             2018.10.04 UP

MARPOL条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships:海洋汚染防止条約)附属書Ⅵ第14規則では、船舶で使用される全ての燃料油に適用されます。

主機関、発電機関はもちろんIGG(Inert Gas Generator)、ボイラー、焼却炉も規制に適合した燃料油の使用が要求されます。

但し、IMO EGCS ガイドラインでは焼却炉は適用対象外になっています。これは燃料油ではないものも燃焼するため、燃料油中の硫黄分濃度と排ガス中のSO2/CO2を使用した評価方法が適用できないためです。 また非常用発電機関を訓練、作動確認及び非常時以外で使用する場合においては規制に適合した燃料油の使用が要求される可能性がありますので注意が必要です。

16.SOxスクラバー搭載によるメリットは?投資回収期間は?

スクラバーを搭載することで比較的安価な高硫黄C重油など従来燃料の継続使用が可能となり、燃料費を削減することができます。

低硫黄燃料は従来燃料に比べて高価です。
スクラバーを搭載することで従来燃料の継続使用が可能となり、低硫黄燃料を使用した場合に比べて燃料費を抑えることができます。

弊社の検討例では、スクラバー設置の投資回収期間は2年から5年と試算されるケースがほとんどです。

15.必要なメンテナンスを教えてほしい。

センサー類の校正及び定期点検があります。
ダンパ、ファン、ポンプ等の機器は通常のメンテナンスが必要です。

タワーについては可動部がなく、通常の使用ではメンテナンスはほぼ必要ありません。

シールエアファン、ポンプ等の回転機器は定期的なメンテナンスが必要です。
また、監視装置(センサー類)はコンプライアンスを担保するため、定期的な校正がガイドラインで規定されています。
尚、詳細な点検要領は監視装置メーカー標準に従うことになります。
排水については、本船更新検査毎にサンプルを取水し陸上の検査機関で硝酸塩濃度を分析する必要があります。

14.スクラバー装置の操作、監視はどうやって行うの?

機関制御室等にタッチパネルを設置し、遠隔操作、遠隔監視します。

タッチパネル式のHMI(Human Machine Interface)を機関制御室に設置しここから遠隔で行います。

通常機関制御室に設置されるHMIには主に以下機能が備わっています。

  • システムの状態監視
  • システムの自動発停(含主要バルブ開閉・ポンプ発停)
  • 排ガスダンパーの切り替え
  • システム危急停止
  • オープンモードとクローズドモードの切り替え(ハイブリッドシステムのみ)
13.レトロフィットと新造の違いは何?

レトロフィットの場合は、船の既存設備の改造などが必要になります。

スクラバー本体はレトロフィットと新造船での違いはありません。
レトロフィットの場合は、搭載する船側の既存設備改造、船体構造補強などが必要になります。
弊社ではレトロフィット搭載に関するエンジニアリングも行っています。

12.スクラバータワーの材料には、なにを使用しているの?

海水と酸への耐性が求められる為、対腐食性の高い材料を使用しています。

主としてスクラバータワーの材料には2相ステンレスを採用しています。
また、排ガス導入部は高温排ガスと海水が最初に接触し最も厳しい腐食環境となるため、高耐食ステンレス鋼を採用しています。

11.スクラバー装置は何か承認が必要なの?

EGCSユニットの承認を受けるスキームAと、SOx放出量を監視し適合を実証するスキームB、いずれかの承認スキーム適用が必要となります。

MARPOL条約附属書Ⅵ第4規則では、EGCSは搭載船主管庁による承認を受ける必要がある旨規定されています。
IMO EGCSガイドラインではその具体的方法としてScheme-A及びScheme-Bが規定されています。

・Scheme-A:脱硫性能試験結果に基づいてそのEGCS承認し、就航中は運転パラメーターの監視によりその適合性を実証する方法
・Scheme-B:排ガス監視装置を承認し、就航中は監視装置による排ガス性状の連続モニタリングによりその適合性を実証する方法

Scheme-Aによる認証は陸上等でのフルスケール試験を実施する必要があるため、Scheme-Bにより主管庁の承認を受けるほうが現実的なようです。

10.IMO EGCSガイドライン(排水硝酸塩排出基準)とは何?

洗浄水排水の硝酸塩濃度を制限するものです。

以下のいずれか高い方を超えてはいけません。
常時監視の必要はありませんが、船舶更新検査時に硝酸塩排出データを提出できるよう検査の3か月前までに排水サンプルを採取し、陸上検査機関などで分析する必要があります。
・排ガス中のNOx排出量の12%
・45t/MWh洗浄水に対して 60mg/L の硝酸塩濃度

9.IMO EGCSガイドライン(排水PAH排出基準)とは何?

洗浄水排水中に含まれる多環芳放香族炭化水素を制限するものです。

例えば、取水と排水のPAH濃度差が洗浄水量 45t/MWh において 50 µg/L PAHphe を超えてはいけません。
運用中の監視が義務付けられています。

★PAHとはPolycyclic Aromatic Hydrocarbons(多環芳香族炭化水素)の略称です。

8.IMO EGCSガイドライン(排水濁度排出基準)とは何?

洗浄水排水の濁り(Turbidity)を制限するものです。

取水と排水の濁度差が25FNUs 又は 25NTUs を超えてはいけません。
運用中の監視が義務付けられています。

7.IMO EGCSガイドライン(排水PH排出基準)とは何?

洗浄水排水の酸性度を制限するものです。

以下のどちらかを満たすことが求められ、運用中の監視が義務付けられています。
・洗浄水排水のpHは6.5以上(但し操船中及び航行中は取水と排水のpH差が2以内であれば良いです)
・ 船舶が静止した状態で船外排出口から4m先でpH6.5以上

6.IMO EGCS ガイドラインとは何?

IMOで定められた、世界共通の舶用SOxスクラバーの指針です。

MARPOL条約附属書Ⅵ第4規則では低硫黄燃料油使用の代替手段として、燃料油燃焼装置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を規制値以下に低減できる装置(EGCS:Exhaust Gas Cleaning System)を使用することが認められています。

この代替装置の指針として、IMO MEPC.259(68)”2015 Guidelines for Exhaust Gas Cleaning System”が採択されており、SOxスクラバーの技術的な要件、運用上の要件が記されています。

★EGCSとはExhaust Gas Cleaning Systemの略です。排ガス浄化装置を意味し、SOxスクラバーもこれに含まれます。

5.海水の性状がスクラバーに影響するの?

スクラバーの脱硫性能は、海水のアルカリ度により影響を受けます。

海水のアルカリ度が低いとSOx洗浄による海水の酸性化に対する緩衝能力も低くなります。
これは海水単位量当たりの脱硫能力が小さいということを意味しますので、アルカリ度の低い淡水域などでは、所定の脱硫性能を達成するために多量の海水が必要になります。

4.SOxスクラバーはどうやって排ガスからSOxを除去するの?

SOxを海水に吸収させて除去します。

排ガス中のSOxは、スクラバー内で洗浄水(海水)と気液接触し海水中に吸収除去されます。
SOxの大部分はSO2(二酸化硫黄)であり、SO2が水に溶解すると亜硫酸水素塩と亜硫酸塩となり、酸素を含む海水中ではこれらが酸化され硫酸塩となります。
生成した硫酸塩は海水中に大量に含まれているものなので海洋環境に対する影響はほとんどないとされています。

SO2 + H2O→H2SO3(亜硫酸)→H⁺ + HSO3 ⁻(亜硫酸水素塩)
HSO 3 ⁻(亜硫酸水素塩)→H⁺ + SO3 ²⁻(亜硫酸塩)
SO3²⁻(亜硫酸塩)+ 1 / 2O2 SO4 ²⁻(硫酸塩)

亜硫酸塩ができることで洗浄水は酸性を帯びますが、海水のアルカリ度によってある程度中和されます。
しかし、一旦海水の持つ中和能力が消費されてしまい酸性度が強くなると海水の脱硫能力が落ちます。
そのため、海水を循環して排ガスを洗浄するクローズドループでは、苛性ソーダなどによりアルカリ成分を適宜補給することが必要になります。

3.SECAとは何?

欧州の北海およびバルト海や北米沿岸海域など硫黄酸化物の排出規制海域のことです。

この海域を航行する船舶は2015年1月1日以降、硫黄分が0.1%を超えない燃料油の使用が強制化されています。
★SECAとは「Sulphur Emission Control Area」の略です。

2.SOxってどんなもの?

燃料油に含まれる硫黄分が燃焼することで発生するガスのことです。

大気汚染による酸性雨やぜんそくの原因の一つにもなっています。
★SOxとは一酸化硫黄(SO)、二酸化硫黄(SO2)や三酸化硫黄(SO3)など硫黄酸化物の総称ですが、IMO EGCSガイドラインでは排ガス中に最も多く存在するSO2が代表物質として規制の対象となっています。

1.船舶の排ガスSOx規制とは何?

マルポール条約(海洋汚染防止条約)附属書VI第14規則により、船舶からのSOxガスの削減の為に義務付けされた規制のことです。

船舶からの排ガスによる大気環境への負荷低減が求められている中、排ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)の排出を抑制するため、船舶が使用する燃料油中の硫黄分濃度に係る規制が段階的に強化されることがMARPOL条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships:海洋汚染防止条約)附属書Ⅵ第14規則に規定されています。
この規制により欧州の北海およびバルト海や北米沿岸海域など汚染物質の排出規制海域(ECA:Emission Control Area)では2015年1月1日以降、硫黄分が0.1%を超えない燃料油の使用が強制化されました。
また、ECA以外の一般海域においても2020年1月1日以降0.5%を超えない燃料油を使用することが義務付けられます。
MARPOL条約附属書Ⅵ第4規則では低硫黄燃料油やガス燃料使用の代替手段として、燃料油燃焼装置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を規制値以下に低減できる装置(EGCS:Exhaust Gas Cleaning System)を使用することが認められています。

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